代表理事挨拶

代表理事挨拶

20世紀の世界を動かした資源は石油だった。21世紀、それに代わるのがデータである」と良くいわれます。ICTやIoTの大幅な進歩と機械学習を初めとする画期的なアルゴリズムの登場により、大量のデータを効率よく収集・処理し、人工知能(Artificial Intelligence、AI)で解析・利活用することが可能となっています。

医学の分野も例外ではありません。検査・測定技術の進歩によって、種々のビッグデータが次々に生み出されています。なかでも眼科学は、デジタル画像データを頻用することから、ビッグデータ・AIと非常に親和性が高い分野といえます。例えば撮影フォーマットがほぼ統一されている眼底写真は深層学習(ディープラーニング)に用いやすく、眼底写真を元にしたAI診断については、かなり早い段階から盛んに研究が行われています。

一般社団法人Japan Ocular Imaging Registry(JOI Registry)は、質の高い眼科データを継続的に収集する体制を確立する目的で設立された団体です。日本眼科学会と連携して活動を行います。公益財団法人である日本眼科学会が直接携わることが困難な、データ収集のためのインフラ整備、レジストリの作成・整備、データの管理・提供を担います。

JOI Registryを維持していくためには、サーバ費用や事務局委託費など、継続的な予算が必要となります。安定的な運営のため、会費収入(個人会員、施設会員、賛助会員)を主な収入源とすることを想定しています。会員向けに、順次無償データセットを公開予定とするとともに、有償での提供について今度ルールを検討して参ります。

医療データをめぐるAI競争は世界的に激化する一方です。海外製のAIエンジンをただ受け入れるだけでは、日本の眼科の発展は望めず、世界から周回遅れとなってしまうだけでしょう。日本ならではの質の高いビッグデータを収集・整備し、眼科関係の皆さんに広く使って頂けるよう、システムを構築していきたいと思います。皆様のご理解とご協力を宜しくお願い致します。

大鹿哲郎(筑波大)
Tetsuro Oshika (University of Tsukuba)

大鹿哲郎(筑波大)

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